女性にとって妊娠とは人生の大きなイベントですが、そのタイミングは非常に重要です。
そのため男女問わず避妊に気を配っている方も多いでしょう。
しかし気を付けてはいても、避妊に失敗して不安が募ったり、性行為の際に男性が避妊を行ってくれず困っている方もいるはずです。
この記事ではそんな方のためにアフターピルについて詳しく説明します。
- アフターピルとはなにか
- 効果や副作用は?
- 服用しても効果の低い方とは
- 薬の入手方法
- 今後の避妊をどうするか
アフターピルについてもっと知りたい方は、是非この記事を参考にしてください。
目次
そもそもアフターピルとはなんなのか?どんな効果があるの?
アフターピルは避妊に実効性のある薬であることは周知の事実です。しかしその作用や効き目について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
ここではまず、薬について詳しく解説します。
アフターピルとは「緊急避妊薬」
アフターピルとは、避妊に失敗した時や避妊できなかった場合に内服し、妊娠成立や着床を回避させるホルモン避妊薬です。
- 避妊していたが失敗してしまった
- 避妊しないで性行為してしまった
- 避妊したが心配で仕方がない
このような場合、性行為後なるべく早く服用することで、より高い効果が得られます。
現在日本が認可しているのは、先発品のノルレボと後発品のノボノルゲストレルとヤッペ法で用いられるプラノバールです。
ヤッペ法が認可されたのは1970年代で、これまで多くの女性が使用していました。しかし副作用が多く出ることや、実効性が低いことなどからヤッペ法よりもノルレボやノボノルゲストレルが多く処方されています。
アフターピルがなぜ避妊に効果があるの?
アフターピルは避妊に効果がありますが、飲むタイミングによって作用が違います。
排卵前の服用により排卵を抑制できる
排卵前にアフターピルを飲むと、卵胞を育てるホルモンLHサージが抑制・遅延されます。そのため、排卵が阻まれ妊娠を回避させるのです。
排卵後の服用は子宮頸管粘液が変化する
排卵後の服用は、子宮頸管粘液の性状変化により精子の侵入を阻止します。
また受精していても着床しにくくさせるので、排卵後でも薬を飲むことが可能であり、避妊に効果があります。
アフターピルの避妊確率はどれくらいなの?
アフターピルとは100%実効性のある避妊薬ではありません。
しかし少しでも早く薬を飲むことで、避妊の効果は高くなります。
ノルレボ・ノボノルゲストレル
内服までの時間 | 避妊の成功確率 |
24時間以内 | 99.6% |
48時間以内 | 98.8% |
72時間以内 | 97.3% |
ヤッペ法
内服までの時間 | 避妊の成功確率 |
24時間以内 | 98% |
48時間以内 | 95.9% |
72時間以内 | 95.3% |
内服後、2時間以内に嘔吐してしまうと避妊の効果が得られないことがあります。これは24時間以内に服用していても同じです。
こういった場合はもう一度薬を飲む必要があります。
アフターピルには副作用がある?
緊急避妊薬とは、妊娠を望まない女性にとって重要な役割を果たす薬です。
しかし服用すると、なにか副作用があるかもしれないと不安になります。
ここでは、起こるかもしれない副作用の症状について説明します。
アフターピルの副作用とは?
- 嘔吐
- 月経周期の乱れ
- 不正出血
- 乳房の張り
- 頭痛
- 倦怠感
- 眠気
内服後、数時間で症状を感じはじめ、通常1日以内には治まりますが、副作用には個人差があり全く感じない方もいます。
また現在服用中の別の薬との飲み合わせによって、副作用が出てしまうこともあります。
医療機関を受診の際はお薬手帳を持参するなどし、医師に確認してもらってから処方してもらってください。
アフターピルはこんな方におすすめ
初めてアフターピルを使用する場合、本当に自分は飲んで大丈夫なのか気になります。
ここでは服用をおすすめできる方とそうでない方を説明します。
アフターピルは緊急で避妊する必要がある場合
アフターピルの使用目的は、緊急に避妊することです。
- コンドームが破れてしまった
- コンドームが女性側に残ってしまった
- 低用量ピルを飲み忘れていた
- 避妊してもらえなかった
- 性的暴行をされた
さまざまな理由がありますが、望まない妊娠を防ぐために使用することに変わりはありません。
こういった場合なるべく早く内服することで高い避妊効果が得られます。
しかし、アフターピルは緊急避妊法です。最終手段と考えて頼りすぎることのないよう、普段からの確実な避妊方法として低用量ピルを服用する選択肢もあります。
アフターピルはこんな方は飲んではだめ
アフターピルは望まない妊娠を回避したい女性にとって効力を発揮する素晴らしい薬ですが、使用に適していない方もいます。
- 体重75Kg以上
- BMI(身長と体重から計算する体格指数)が25以上
このような体格の方には、あまり避妊効果が見られない可能性があります。
またアフターピルとの併用のため、避妊の効果を下げてしまう薬があります。
- 抗てんかん薬:フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン
- 一部の抗生剤:エファビレンツ、リファブチン、リファンピシン
- 一部の抗凝固剤:フェニンジオン、ワルファリン
- ハーブ系サプリメント:セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)
またセント・ジョーンズ・ワートはハーブの成分を含むサプリメントですが、併用して使用すると避妊の効き目を下げてしまう可能性があります。
アフターピルはどこで手に入るの?
今すぐ必要な方はもちろんですが、いざと言う時の心構えとしてどこで手に入るのか知っておく必要があります。
アフターピルは病院で処方してもらえる
アフターピルを入手したい方は、医療機関を受診して処方箋をもらう必要があります。
世界では薬局でも気軽に購入できますが、日本での市販は認められておらず、医療機関を受診しなければなりません。
アフターピルはオンラインでも購入ができる?
さまざまな事情があり、アフターピルは手に入れたいが、医療機関は受診したくない方もいるでしょう。
こういった方はオンライン診察を受け、薬を自宅に配送してもらう方法もあります。
オンライン診療の流れ
- スマートフォンでオンライン診察をしてくれるサイトを探す
- 専用アプリやメッセージアプリなどを使い、問診・診察・決済を行う
- 最短当日、自宅に薬が届く
一方で医療機関を受診せず、アフターピルを海外から個人輸入している方もいます。この方法は手軽で価格が安い場合もありますが、有効成分が含まれていない偽物である可能性もあり、かつ、届くまで時間がかかることが予想されるため推奨できません。
アフターピル以上の避妊効果を求めるなら?
アフターピルの服用はあくまで緊急措置に過ぎず、普段からの避妊について考えておく必要があります。ここからは、アフターピル以上に高い効き目の見込める避妊方法を紹介します。
アフターピル服用後に低用量ピルを服用しましょう
アフターピルを内服した後は、低用量ピルの使用を始めることを勧められることがあります。低用量ピルとは、毎日決まった時間に服用する事で高い避妊効果が得られる薬です。
アフターピル以上に確実な避妊を希望する場合、低用量ピルの服用も選択肢になるでしょう。
まとめ
アフターピルは、万が一の場合の緊急避妊薬として実効性の高い薬です。
避妊が失敗したかもしれない時や、避妊できなかった時の不安を取り除き、望まない妊娠を回避できます。
しかしアフターピルに頼りすぎず、女性が積極的に避妊を行う方法もあるのです。
自分の体を守るためにも、避妊についてしっかり考えておきましょう。
参考文献:
レボノルゲストレル緊急避妊薬(Plan B®または相当のジェネリック薬)|BC Centre for Disease Control