ピルは、高い避妊効果や生理痛を緩和する効果など、さまざまな効果が得られる薬です。
一方で、副作用の症状が辛い、処方してもらうために通院する時間がとれないなどの理由で、ピルをやめるか悩んでいる方もいるでしょう。
この記事では、やめるタイミングや、注意点、やめたあとに体に起こることをご紹介します。
目次
ピルをやめるのはどんな場合?
ピルをやめるか悩むのはどんな場合か、悩んだときはどうすればいいか具体的にお伝えします。
ピルを処方してもらうために、病院へ行く時間がない
ピルを処方してもらうためには、定期的にクリニックや病院に行く必要があります。
仕事や学校が忙しいためにクリニックや病院に行く時間がとれず、ピルをやめるか悩んでいる方もいます。そんなときは、医師に相談してみましょう。
クリニックによっては、通院回数を減らすために、数ヶ月分まとめて処方してくれるところもあります。
また、現在はオンラインで診療し、処方をしてくれるクリニックもあります。オンラインの診療であれば、通院する時間やクリニックでの待ち時間がいりません。
他のクリニックを調べて自身の都合に合った方法を見つけることで、ピルを継続できるかもしれません。
ピルの毎月の料金がかさんでしまう
ピルを飲み続けるには、一定の料金が必要になります。治療目的のピルの場合は保険適応です。避妊のために服用するピルは保険適応外なので、1周期分2,000〜3,000円程度の料金がかかります。
ピルを飲み始めたけど思っていたより毎月のピル代や診察代がかさんしまい、やめようか悩んでいる方もいるでしょう。
避妊ピルは自由診療で料金を設定できるため、クリニックによってピルの価格や診察代が異なります。また、ピルの種類によっては、ジェネリック(後発医薬品)があるため、料金を抑えることができます。
クリニックや病院を変えたり、ジェネリック医薬品へ変更することで、毎月の料金が抑えられる可能性があります。
ピル服用による副作用がつらい
ピルは、頭痛、倦怠感、むかつき、嘔吐などの副作用が出る場合があります。副作用の出方や強さは人それぞれですので、特に症状を感じない方もいれば、日常生活に支障が出るほど辛いと感じる方もいます。
これらの症状は、ピル服用を開始してから、ホルモンバランスの変化が落ち着く1〜3ヶ月以内におさまることが多いと報告されています。
ピルの開始から3ヶ月経っていないときは、もうしばらく様子を見てみましょう。
また、ピルには女性ホルモンの配合パターンによっていくつか種類がありますので、配合パターンの違う薬に切り替えることで副作用が軽減または消失することもあります。薬の変更について、一度医師に相談してみましょう。
それでも、ピルの副作用が辛いときには、やめることも考えましょう。
こんなときはピルの服用をやめたほうがよい
ピルは、基本的に自身の状況に合わせて服用を選択できますが、服用をやめたほうがよいときもあります。
年齢により、更年期や閉経を迎えた場合
ピルは、更年期を迎える年齢から閉経をするまでにやめることが望ましいとされています。また、50歳以上の方や閉経を迎えた方は、ピルの処方対象外になります。
更年期を迎え始める40歳以上での使用は、ピルの副作用である血栓症のリスクが高くなるため、慎重に行います。
一般的に加齢とともに、肥満や高血圧、高脂血症(コレステロール値や中性脂肪値が高い状態)、糖尿病のリスクが高くなるため、ピルの使用によりこれらのリスクを助長する可能性があります。
一方で、更年期を迎えていても排卵機能が維持されている間は、妊娠する可能性があるので、ピルが必要なときもあります。
40歳を迎えたら、今後のピルの服用や中止について医師に相談し、必要なときは診察を受けましょう。
妊娠を希望する場合
ピルは妊娠を避ける効果がある薬なので、妊娠を希望するときはピルをの服用をやめます。
ピルによって止まっていた排卵が再開すれば、妊娠が可能な状態に戻ります。ピルをやめてから排卵が再開するまで、すぐの場合もあれば、数ヶ月かかる場合もあります。
ピルはどうやってやめるの?
ピルをやめると決めたとき、具体的にどのようにやめるのかご紹介します。
ピルは、使用に注意する疾患などがなければ、自身の状況に合わせて始めたいときに始められ、やめたいときにやめることができる薬です。やめたいと思ったら、医師に相談し中止しましょう。
ピルをやめるタイミングとは?
ピルをやめるタイミングとしては、基本的にやめたいときにやめることができます。
今飲んでいるシート(実薬)を飲み終えてしまいましょう。次のシートを飲み始めなければ、その時点でピルの服用をやめることができます。
ピルをやめたいときは、医師に注意点について確認し、必要であれば診察や検査等を受けます。今すぐにでもやめたいという方も、自己判断でやめてしまう前に、一度医師に相談しましょう。
ピルをやめるのが不安なときは医師に相談を
ピルをやめれば、もちろん避妊効果は得られなくなります。また、ピルによって改善していた生理痛が戻る可能性があります。そうすると、日常生活への影響やピル以外の避妊の方法についてなど不安なことが出てくるかもしれません。
やめるのが不安なときや、やめるかどうか悩んでいるときは、自己判断で中止せずに、医師に相談し指導を受けしましょう。
ピルを止める際の注意点は?
実際にピルをやめる際には、注意すべきことがあります。それは、ピルをやめたあとに、もう一度再開する可能性があるときのリスクです。
なぜ注意すべきなのか、ここで詳しくお伝えします。
また、ピルを中断すると、生理やそれに伴う生理痛・PMSはどうなるのか、妊娠はいつから可能なのかについてもご説明します。
ピルの服用をむやみにやめたり再開しない
ピルは、副作用である血栓症に注意が必要な薬です。
血栓症を発症するリスクは、使用を開始してから3か月以内が最も高く、使用を継続するとそのリスクは減少していきます。ピルをやめた場合は、中止後3か月以内にピル非使用者と同じリスク値まで戻ります。
しかし、そのあと再開すると一旦下がったリスクはまた高くなります。4週間以上ピルを中断したのち再開すると、再開した数ヶ月間、再び血栓症のリスクが増加すると報告されています。
つまり、中断と再開を繰り返すと、血栓症のリスクが増加するため、安全な使用とは言えません。また、自己判断での中断・再開は、ピルの正しい使用が出来ず、妊娠のリスクも高くなります。
ピルをやめたい場合は、今後再開する可能性がないかも考え、むやみにやめたり再開したりしないようにしましょう。
一旦は中断し、再開することも考えている場合は、必ず医師に相談し、きちんと指導を受けましょう。
ピルをやめると生理痛やPMSが服用前の状態に戻る
ピルによって、生理痛やPMS(生理前症候群)緩和や軽減に効果を感じている方もいます。
ピルは、排卵を抑えるすることで、経血量を減らし生理痛を緩和したり、ホルモンバランスの変動をなくしPMSも軽減します。ピルをやめると、ピルによって抑えられていた排卵が再び起こり、それらの症状が服用前の状態に戻る可能性があります。
ピルをやめたあと、生理痛やPMSが辛い場合は、他の対処法を医師に相談してみましょう。
ピルを止めると1〜2ヶ月で生理が戻る
ピルをやめると、1〜2ヶ月以内に生理が戻ってきます。3ヶ月以内には、多くの程度の人に生理が戻ってくると報告されています。
ピル終了後は、一時的に生理周期が乱れることがあるため、生理がなかなか戻らないことがあります。
また、以前、生理不順だった方は、ピルを終了しても生理が再開せず、再び元の不順に戻ることがあります。あるいは、ピルを終了すると、排卵が回復するので、生理がくる前に妊娠する可能性もあります。
ピルを終了後、1〜2か月経っても生理が戻らない場合は、クリニックや病院を受診しましょう。
ピルを止めると2〜3ヶ月で妊娠が可能に
薬の種類によって多少異なりますが、終了後3ヶ月以内にほとんどの人に排卵が再開すると報告されています。排卵が回復すると、妊娠が出来る状態になります。
妊娠を考えるタイミングになったら、ピルをやめると早ければ2〜3ヶ月で妊娠が可能になります。生理が戻る前に排卵した場合は、生理の再開を待たずに1か月以内に妊娠することもあります。
生理が戻らない場合は、妊娠検査薬で確認し、受診しましょう。
ピルを止めることによる効果は?
ピルの使用よる妊娠への影響はなく、終了後排卵が回復すれば妊娠が可能な状態になります。一方で、ピルをやめることで、避妊や生理痛の緩和以外にも、ニキビや多毛を改善する効果もなくなる可能性があります。
ピルの服用を止めると、妊娠可能に
ピルの服用をやめると、排卵が再開し、妊娠が出来る状態になります。
ピルの服用によって「妊娠しにくくなるのではないか?」と妊娠への影響を不安に思う方もいますが、特に影響はありません。
長くピルを服用していた方でも、服用期間による妊娠率の違いはありません。また、ピルを服用していた人の方が不妊の確率が低くなるという報告もあります。
さらに、ピル服用後、赤ちゃんへの影響も報告されていません。
ピルをやめたあとの1年以内の妊娠率は飲んでいなかった人と変わりません。
ただし、ピルをやめても妊娠出来ないこともあります。妊娠はさまざまな要因が関連するため、すぐに妊娠出来る人もいれば、そうでない人もいます。
まずは、正常な生理周期がきちんと戻ってくることを確認しましょう。
生理が戻らない、生理周期が不順などの場合は、クリニックや病院を受診しましょう。
ピルの服用を止めることによる、ニキビや抜け毛の効果は
ピルの服用によって、避妊効果や生理痛の緩和以外にも、ニキビや多毛を改善する効果を感じていた方もいるでしょう。ピルは排卵を抑え、ホルモンバランスを調整することで、これらの症状を改善します。
ピルをやめると、その作用がなくなるため、治っていたニキビや多毛が再発する可能性があります。
ただし、ピルをやめたあと、症状が再びどのように出るかは人それぞれですので、年齢的な要素などで再発しないこともあります。
ピル中断後に、抜け毛を感じる方もいますが、ホルモンバランスの変化が関係しているため、一時的なものでずっと続く訳ではありません。
まとめ
ピルは、自身の目的や状況に合わせて、やめたい時にやめることがで出来ます。妊娠を希望するときは、ピルをやめることで妊娠が出来る状態になります。
ただし、自己判断でピルをやめると、ピルをやめた後の知識が不十分なために不安になることもあるかもしれません。やめたい場合は、検査等が必要なになることもありますので、医師に相談しきちんと指導を受けましょう。
また、「料金が高い」などの理由でやめようか悩んでいる方は、一度医師に相談してみましょう。やめること以外での解決法が見つかるかもしれません。
クリニックや病院へ行く時間がとれないために悩んでいる方は、オンライン診療を利用するという選択肢もあります。自身のライフスタイルに合わせてうまく活用しましょう。
参考文献: