「ピルを飲めば生理が軽くなる」、「ピルを飲めば避妊できる」などといった語られ方をすることが多いピルですが、種類が多いです。
種類もたくさんありますが、どんな違いがあるかご存じでしょうか。
実はピルは種類によって、効き目や飲み方が違います。
今回はピルの種類や違いについて徹底解説します!
目次
そもそもピルとはなんなの?
ピルとはなんなの?
ピルと呼ばれるお薬は経口避妊薬とも呼ばれます。
多くのピルにはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンやそれらに似た物質が含まれています。
まずこれらが成分が作用し、排卵後の子宮内膜の状態を作り出します。
そしてピルを休薬する(またはデンプンや糖などでできた偽薬を服用する)ことで、体内のエストロゲンとプロゲステロンがピルを飲んでいる時より減少します。これによって、「消退出血(いわゆる生理)」が起きます。
つまりピルとは、決められた日数お薬を飲むことで偽妊娠の状態を作り、その後ピルを休薬して消退出血を起こすことで、生理をコントロールするお薬と言えるでしょう。
ピルにはどんな種類がある?種類によって何が違うの?
ピルの種類は大きく
- 低用量ピル
- アフターピル
の2つに分けることがきます。
低用量ピルは月経困難症の治療や避妊目的などのために、休薬期間を設けながら毎日服用することで効果を得るものです。
きちんと服用していれば、99%以上の避妊効果を得ることが期待できます。
一方、アフターピルとは性交時に避妊が失敗してしまった後に1錠(ないし4錠)服用して避妊の効果を得るものです。緊急避妊薬やモーニングアフターピルとも呼ばれます。
避妊の確率を高めるためにはアフターピルを性交後なるべく早く服用する必要があります。
服用の目安はピルの種類にもよりますが、大まかに性交後72時間~120時間以内の服用が必要とされています。
またこの時間内であっても、服用のタイミングが早ければ早いほど、避妊の成功率が高くなります。アフターピルは妊娠を成立させない薬であるため、妊娠が成立してから飲んでも避妊ができないからです。
低用量ピルにはどんなものがあるの?
相性による分類
ピルにはいろいろな分類の仕方がありますが、その一つが「相性(そうせい)」による分類です。
低用量ピルは1周期分1シートで処方されます。
この1シートのうち、エストロゲンとプロゲステロンの量が変わらないものを一相性、2段階で変化するものを二相性、3段階で変化するものを三相性と言います。
ピルの中に含まれるホルモン量が1シートの中で変化する段階が多いほど、自然の生理周期に近いホルモン状態になり、体調の変化が起きにくい特徴があります。
代表的なピルを相性で分類すると下の表のようになります。
1相性 | ・マーベロン
・ファボワール ・フリウェルLD、フリウェルULD ・ルナベルLD、ルナベル/ULD ・ジェミーナ ・ヤーズ |
2相性 | 日本での取り扱いなし |
3相性 | ・シンフェーズ
・トリキュラー ・ラベルフィーユ ・アンジュ |
世代による分類
また、他の分類方法として「世代」という分類の仕方があります。
下の表のように、プロゲステロンの種類と開発順によって、第一世代、第二世代、第三世代という分け方がされます。
世代 | プロゲステロンの種類 | 薬剤名 | 特徴 |
第1世代 | ノルエチステロン | ・シンフェーズ
・フリウェルLD ・ルナベルLD ・ルナベルULD |
・経血減少
・PMS緩和 |
第2世代 | レボノルゲストレル | ・トリキュラー
・ラベルフィーユ ・ジェミーナ ・アンジュ |
・生理周期のコントロール性が高い
・不正出血が減少 |
第3世代 | デソゲストレル | ・マーベロン
・ファボワール |
・日本ではニキビに悩む女性に人気 |
第4世代 | ドロスピレノン | ・ヤーズ
・ヤーズフレックス |
・他の世代のピルに比べむくみにくい
・月経困難症の治療に用いられる ・ホルモン消退時の下腹部痛などが軽減される |
低用量ピルの中には保険適用のものもあるの?
低用量ピルの中には保険適用のものがあります。ただし、避妊目的や美容目的で服用するピルは、保険適用にならず自由診療扱いとなります。
ピルが保険適用となるのは、月経困難症など病気の治療のために、特定のピルを処方した場合のみに限られます。
現在保険適用となるピルはルナベルLD、ルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックス、フリウェルLDです。
アフターピルにはどんなものがあるの?効果と副作用は?
レボノルゲストレルとは?
レボノルゲストレルは日本で初めて認可されたアフターピルです。レボノルゲストレルは性交後72時間以内に服用する必要があります。
治験による妊娠阻止率は84%です。
※妊娠阻止率とは:その薬を飲んだ人が避妊をしなかった場合と比べ、どれだけ妊娠しにくくなったかを示す数字です。避妊できる確率を指す避妊率とは異なります。
ピルの服用方法は?どうやって飲むの?
アフターピルの服用方法
性交後できるだけ早く1錠服用します。
ただし、医師がどのような緊急避妊法を採るかによって異なります。
低用量ピルの服用方法
休薬期間を除き、毎日、1日1回決まった時間に服用します。
休薬期間の間もプラセボ薬と呼ばれる偽薬を服用しつづけるピルもあります。
どのピルを飲めばよいの?おすすめのピルは?
PMSの改善に効果があるものは?
PMSや月経困難症の改善にはピルの中でも超低用量ピルと呼ばれるものが推奨されています。超低用量ピルにはヤーズ、ヤーズフレックスなどがあります。
また、月経困難症やPMSの改善を目的にピルを服用する場合、保険が適用されることがあります。現在保険適用になっている1相性ピルは、ルナベルLD、ルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックス、フリウェルLDです。
低用量ピルは毎日飲むお薬ですので、保険適用になるかどうかという点も、選択のポイントの一つとなるため、処方を考えている場合はその旨を医師に伝えるようにしましょう。
ニキビや生理にまつわる悩みに効果があるものは?
マーベロンなどがおすすめです。ニキビの原因となる男性ホルモンの活性を抑える働きがあるため、生理によるニキビや肌荒れの改善が期待できます。
しかし、ピルの効き目には個人差があります。医師と相談しながら、自分にあうピルをみつけていくと良いでしょう。
ピルはどこで処方してもらえるの?
医療機関もしくはオンライン診療で処方が可能
ピルは産婦人科などの医療機関で処方してもらえます。
また病院によっては病院に行かなくてもビデオ通話などによるオンライン診療で、ピルを処方してもらうことができます。
忙しくて病院に行く時間がないという方は、オンライン診療でピルを処方してもらうのも一つの方法でしょう。
副作用も正しく理解しよう
ここまでピルの種類や効果などについてご説明してきましたが、ピルは副作用もあるお薬です。
副作用として、
- 不正出血
- 吐き気
- むくみ
が起きる場合があります。多くの場合、服用開始後3ヶ月程度で治るとされています。
また重大な副作用として
・血栓症
にも注意が必要です。
すべての人にこれらの副作用が起きるわけではありません。いずれにせよ、医師の適切な管理のもとで服用することが重要です。
まとめ
ピルは生理にまつわるお悩み、避妊など、女性ならではのお悩みを解決する一助になりえる薬です。
今回ご紹介したようにピルにはたくさんの種類がありますので、目的や自分の体質にマッチしたものを見つけることがポイントです。
また、ピルは副作用への注意が必要なお薬でもあります。
ピルを使ってみたいと思ったら、まずは医師に相談し、リスクとベネフィットを正しく理解したうえで上手に活用していきましょう。
参考文献:
緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成 28 年度改訂版)|日本産科婦人科学会