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ピルでニキビが悪化する?
ニキビ(吹き出物)に悩まされている方は年齢を問わず多いのではないでしょうか?
ニキビがあるだけで気分が下がってしまいますし、できることならば肌トラブルは避けていきたいですよね。
結論から申し上げますとピルの服用でニキビは改善可能な方もいます。ニキビのできにくい肌を目指すことも人によっては可能です。
ただ、場合によってはニキビが悪化することもあるため注意が必要です。今回は、ピルとニキビの関係について様々な視点から解説していきます。
ニキビに悩まれている方、ニキビを予防したい方にはぜひ読んでいただきたいです。
ピルを試してみたいけれどどんなものか分かっていないという方もよろしければ読んでみてくださいね。
ニキビとは何か
ニキビとは医学的に「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といわれ、顔面や体幹上部に生じることが多い疾患です。何らかの原因で皮脂が排出できなくなることで毛穴が詰まり、炎症が悪化した状態を指します。
ニキビは青年期に多くみられますが、20代から30代以上の方も悩まされることがあります。青年期にできるものを「ニキビ」、大人になってからできるものを「吹き出物」と呼ぶことがありますが、実はどちらも同じもので医学的な区別はありません。
ニキビができる要因は様々なものが挙げられますが、ストレスや紫外線、タバコなどが代表的です。
ピルがニキビに与える影響
ピルとは一言で表すとホルモン剤です。一般的に、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステレン(黄体ホルモン)の2つが主成分の「低用量ピル」のことを指します。
ちなみにエストロゲンの量が50μg以上のピルを中容量ピル、50μg未満のピルを低用量ピル、25μg未満のものを超低用量ピルといいます。
ピルは生理日のコントロールや月経痛の改善、PMS(月経前症候群)を軽減するなど、様々な用途で処方されます。ニキビの治療にもピルが使用されることがあります。
全ての薬には病気を治したり軽くする本来の目的の「主作用」と、本来の目的以外の「副作用」があります。内服時はこの2つの作用についてきちんと理解しておくことが基本です。
もちろん例外はありますが、一般的にピルの副作用はマイナートラブル(命にかかわるようなレベルではない問題)とされています。
ピルを服用し始めてから嘔気、不正出血などに見舞われることがありますが、2〜3か月でほとんど減少することが分かっています。
またピルを服用すると血栓症リスクが少しだけ高くなる報告がされていますが、健康な方であればピルによる血栓症のリスクはかなり低いとされています。
喫煙者や基礎疾患のある方は注意が必要で、ピルの服用を希望されるときは医師へ相談してみましょう。
低用量ピルでニキビが改善するのか
低用量ピルで人によっては、ニキビが改善する場合があります。本章ではそのメカニズムについて詳しく解説します。
なぜニキビが改善するのか
ニキビの発生には男性ホルモンであるアンドロゲンが深く関わっています。
アンドロゲンが過多になると皮脂腺の活動を活発化させ、皮脂の分泌を過剰にしてしまう作用があります。
つまり体内でアンドロゲンの分泌が過剰になると、ニキビが悪化する可能性が高くなるということです。
低用量ピルに含まれるエストロゲンには、アンドロゲンを抑制させる働きがあるためニキビの改善に有効とされています。
また、アンドロゲンの話とも関係がありますが、ストレスでホルモンバランスが乱れニキビが発生している可能性もあります。
2つの女性ホルモンが含まれる低用量ピルは、乱れたホルモンのバランスを整える作用があります。
ニキビの発生には生活習慣が関わっていることもありますから、低用量ピルを服用しているからどれだけ夜更かしをしてもニキビができないという訳でもありません。
改善されるニキビの種類は何か
一般的な皮膚科で治療可能なニキビは軽症なものです。
ニキビができてから炎症がある程度進み、皮膚科の治療では治らなかったニキビであっても低用量ピルは効果を発揮します。
ピルにはいくつかの種類があり、ニキビの治療でどのピルを服用するかは医師との相談が必要です。
低容量ピルのようなホルモン療法は、効果が全身に行き渡ります。
そのため広範囲に広がったニキビにも有効なことがあります。
服用開始からニキビが改善するまでの期間
低用量ピルには活発化している皮脂腺の活動を抑制し、ニキビをできにくくする効果があります。
軽いニキビはひと月もあれば治りますが、平均的には2〜3か月ほどかかります。重症のニキビであれば3か月程度かかります。
低用量ピル服用で、ニキビが悪化する場合も
低用量ピルを服用することで、場合によってはニキビが治らないどころか悪化することもあります。本章で詳しく解説します。
低用量ピル服用でニキビが悪化するケース
先述したように、低用量ピルを服用し始めてからニキビが治るまでに、一般的にはしばらく時間がかかります。ニキビ治療で低用量ピルを服用し始めた方は、長期的な経過を参考にして頂くことが前提になりますが、ニキビが悪化する可能性としては低用量ピルの種類が合っていない場合です。
そうした場合はニキビを悪化させてしまう場合も大いに考えられます。詳しくは次で解説します。
低用量ピル服用でなぜニキビが悪化するのか
低用量ピルに含まれているプロゲステロン(黄体ホルモン)が男性ホルモンのアンドロゲンを活性化させてしまい、ニキビが悪化することがあります。
アンドロゲンの働きが強まることで皮脂の分泌が過剰になって、ニキビができやすい肌環境になってしまうということですね。低用量ピルには様々な種類があり、ニキビの症状に応じて使い分けることが可能です。詳しくは次で解説します。
ニキビが悪化しやすいピルの種類は?
薬はどうしても人によって合う合わないがあり、ピルもそれは同じです。そのため一概にこのピルがニキビを悪化させやすいと断言することはできませんが、一般的にニキビ治療にはアンドロゲン活性を抑えた種類の低用量ピルを使用することが望ましいとされています。
ニキビ改善に効果の高いプロゲステロンが多く配合された低用量ピルもあります。低用量ピルに配合されている女性ホルモンの量によってもニキビへの効果は変わってきますから、ピルの種類を変更するときは既にピルを飲んでいる方であっても医師との相談が不可欠です。
代表的なピルとしてヤーズフレックス配合錠とトリキュラーという2種類のピルの名前を挙げておきます。
もちろんこのピルが適用になるかどうかは医師の判断になるため、ピルを飲み始めるときやピルの種類を変更する際は病院を受診して自分に合った低用量ピルを処方してもらいましょう。
低用量ピルの服用でニキビが悪化したときは
実際に低用量ピルによってニキビが悪化した場合はどうすればいいのでしょうか?
低用量ピルの種類を変更する
ニキビが悪化した場合はすぐに病院を受診しましょう。医師にニキビが悪化した旨を伝え、低用量ピルの種類の変更について相談してみましょう。場合によっては支払いが保険適用外になることもありますから、その点も確認しておきましょう。
低用量ピルについて医師に相談する
低用量ピルの服用についてわからないことがある場合、自己判断するのは禁物です。
専門医に相談しましょう。
日頃から頼れるかかりつけ医を見つけておくことも大切です。
ピルを服用することになった場合は、お薬手帳に情報が分かるようにしておきましょう。
仮に今後かかりつけ医以外の医師があなたを診察することがあった場合に、お薬手帳は非常に役立つ手がかりとなります。
基本的に処方箋を調剤薬局へ持っていくとき、一緒に手帳に情報を記録してもらえるはずです。2021年3月からはオンライン資格確認の導入が開始され、医療機関や薬局によっては情報の確認のために顔認証を求められることがあるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
ニキビが発生するメカニズムやピルの働きについてご理解頂けましたか?
低用量ピルは世間的に避妊に使用する薬としての認知がまだまだ高いのが現状ですが、実際は様々な用途があります。
ニキビに悩まれている方にとってこの記事が少しでも参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。