アフターピルは、「避妊をせずに性交渉をした」または「避妊はしたけど失敗した」時に、望まない妊娠を避けるために服用する緊急避妊薬です。
緊急避妊薬は、性交渉から72時間以内に服用することにより、高い確率で妊娠を避ける効果があります。
またアフターピルは、クリニックや病院を受診することによって医師からのみ処方してもらうことができる医薬品です。
この記事では、アフターピルの妊娠を避ける効果と、排卵日との関係についてお伝えします。
「アフターピルの効果は、生理周期と関係あるの?」
「性交渉をしたけど、排卵日が近かった…。でも、妊娠を防ぎたい。」
と思っている方は、この記事を参考にしてください。
目次
アフターピルを排卵日付近に服用すると効果はあるの?
アフターピルはなぜ避妊効果があるの?
妊娠は、
①排卵(卵子を卵巣から卵管へ放出)
②受精(卵子と精子が結合)
③着床(受精卵が子宮内膜に定着)
の3段階を経て成立します。
排卵は、排卵前に卵子を育てるホルモンが多量に分泌されて起こります。
画像出所:看護roo!
アフターピルは、この妊娠の過程の3段階にそれぞれ作用するため、妊娠成立自体を防ぐ効果があります。
妊娠が一度成立してしまえば、アフターピルは効果を発揮できなくなるため、医師による迅速な診療と処方がアフターピルには求められています。
不安に感じることがあればすぐに医師に相談・受診することがおすすめされます。
下記ではアフターピルが避妊に影響を与えるそれぞれの効果について説明します。
排卵
卵子を育てるホルモンの分泌を抑制することにより排卵を止める、または遅らせること。
受精
受精を阻害すること。
着床
子宮内膜を薄くすることで、着床しにくい状態にし、受精卵の着床を阻害する。
アフターピルは、性交渉から72時間以内に服用することにより、妊娠を避ける効果があります。
そして、性交渉から服用のタイミングが早ければ早いほど、避妊できる確率は高まる傾向にあります。
そのため、妊娠を避けたい場合は、できるだけ早いタイミングで、アフターピルを処方してくれるクリニックや病院を受診する必要があります。
(※医師の処方なしにドラッグストアなどで買うことはできません。)
下記は、厚生労働省が公表している、アフターピルを処方してくれるクリニックや病院の一覧です。
各都道府県ごとに示されているので、参考にしてください。
※一部オンラインで診療している医療機関もあります。
アフターピルの避妊効果は排卵日付近でも関係がない?
アフターピルの作用は、排卵を止めるまたは遅らせる、受精の阻害、着床の阻害です。
そのため、アフターピルは、生理周期のタイミングに関係なく、排卵日付近でも避妊効果があります。
排卵が起こる前であれば、排卵を止めるもしくは遅らせることで妊娠を防ぎます。
また、排卵が起こった後であっても、受精や着床を阻害することで妊娠を防ぎます。
しかし、アフターピルは100%の確率で妊娠を回避できるわけではありません。
排卵日付近かどうかなどの生理周期のタイミングによって、避妊効果の程度には差があります。
アフターピルの避妊効果は排卵日付近でどのくらいなの?
過去の研究により、アフターピルの服用による避妊効果の程度を示す指標として、生理周期の中の性交渉のタイミングによって妊娠を避ける確率がそれぞれ示されています。
生理周期に関係なく性交渉し妊娠を避ける確率を非妊娠率、妊娠の可能性のある排卵日付近の性交渉で妊娠を避ける率を妊娠阻止率と言います。
アフターピル(ノルレボ法)を服用した場合
妊娠率 | 1.1% |
非妊娠率 | 98.9% |
妊娠阻止率 | 85% |
この表から分かるように、非妊娠率は98.9%ありますが、妊娠阻止率、つまり排卵日付近の妊娠を防ぐ確率は85%です。
排卵日付近の性交渉の方が妊娠を避ける確率は下がります。
また、避妊をしない性交渉から時間が経つほど、より妊娠を避ける確率は下がってしまいます。
妊娠を避ける確率を高めるためには、性交渉後、できるだけ早いタイミングでのアフターピルの服用が有効です。
ノルレボ法以外には、以前は多く用いられていたヤッペ法もあります。こちらの方法の妊娠阻止率は57%です。
ノルレボ法では、1回に1錠の服用で済むのに対し、ヤッペ法は2回に分けて2錠ずつの服用が必要です。
現在では、より妊娠阻止率が高いノルレボ法が用いられています。
排卵日付近でアフターピルを服用した後、いつ排卵がおこるの?
排卵前にアフターピルを服用した場合には、アフターピルの効果が切れた後に、止まっていた排卵が遅れて起こる可能性があります。
アフターピルの効果は、服用した日から5日程度です。
つまり、排卵日付近で服用した場合、もともと排卵予定だった日から、5日程度遅れて排卵する可能性があります。
そのため、アフターピルを服用後に再び避妊をせず性交渉をしてしまうと、遅れて起こった排卵によって、妊娠してしまう可能性は十分にあります。
アフターピル服用後は、避妊が成功したことを確認できるまで、性交渉は控えましょう。
アフターピル服用後に妊娠が回避できたかはどうやってわかるの?
アフターピル服用後に不正出血が起こる?
生理以外の出血を不正出血といいますが、アフターピルの副作用で、不正出血が起こる場合があります。
不正出血は生理とは異なりますので、生理のように出血が何日も続きません。
また、その他の副作用は、頭痛、倦怠感、眠くなるなどがあります。
ノルレボ法のアフターピルでは、ヤッペ法に比べて、副作用で起こるむかつきや嘔吐が少ないため、体への負担も少なくなります。
アフターピル服用後、どのくらいで妊娠が回避できたかわかるの?
アフターピルを服用した生理周期のタイミングにもよりますが、早いと数日、遅くても3週間以内に生理が来ます。
生理がきたら、基本的には妊娠を回避できたということがわかります。
アフターピル服用後にきた生理は、普段より月経血の量が少なくなる可能性があります。
不正出血との見分けが難しいと感じるかもしれませんが、生理の場合は、出血が2〜3日以上続きますので、出血がどの程度続いているかで判断してください。
服用した日から3週間が過ぎても生理が来ない場合は、妊娠している可能性があります。
妊娠検査薬などで確認し、早めにクリニックや病院に相談してください。
まとめ
アフターピルは、性交渉から72時間以内に服用することで、生理周期のタイミングに関係なく妊娠を避ける効果があります。
しかし、排卵日付近での服用では、妊娠を避ける確率はやや下がってしまいます。
より妊娠を避ける確率を上げるためには、性交渉からできるだけ早いタイミングでアフターピルを服用することが大切です。
「避妊をせずに性交渉をした」または「避妊に失敗した」方で、妊娠を望まない場合は、できるだけ早めにアフターピルを処方してくれるクリニックか病院を受診しましょう。
参考文献:
緊急避妊法の適正使用に関する指針|公益財団法人日本産婦人科学会