ピルは避妊のほか、子宮内膜症や月経困難症などの症状を改善させる効果、さらには生理痛、肌荒れ、貧血、PMSなどの予防・改善にも使用されています。
女性にとって便利な薬ですが、薬剤である以上副作用が出ることがあります。
吐き気、胸の張り、頭痛、むくみ、そして不正出血などが主な副作用です。
中でも不正出血に関しては、驚いて不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。
長期的に付き合っていくピルだからこそ、不正出血が起こった場合はどうすればよいのか、飲み続けても良いのか、しっかり理解をしていきましょう。
目次
ピルの不正出血とは?原因と対策方法について
そもそもピルによる不正出血とは何なのか、なぜ起こってしまうのか仕組みを見ていきましょう。
ピルの副作用、不正出血とは?
不正出血とは、生理ではない時期に出血が起こる状態のことです。
不正出血には大きく4つの原因があり、ホルモンバランスの変化、子宮頸がんなどの女性特有の病気、排卵期に起こる中間期出血、妊娠初期に起こる場合に分けることが出来ます。
鮮血でも黒っぽい色であっても、周期に当てはまらないタイミングで起これば全て不正出血と呼びます。
少量の場合は黄色っぽいこともあります。
ピルの服用により、不正出血が起こることは珍しくなく、特に飲み始めの1シート目で全体の3分の1程度の人に見られるともいわれています。
ピルの不正出血は何故起こる?
ピルの服用で不正出血が起こる理由には、上記に挙げた最初の原因である、ホルモンバランスが大きく関係しています。
思春期や閉経期に不正出血が起こりやすい理由はホルモンバランスの乱れによるものと考えられています。
ピルにはエストロゲン、プロゲステロンの2種類が配合されており、妊娠している身体と同じような状態にすることが出来る薬剤です。
ピルには生理の開始に合わせて飲み始めるものもあります。その際に女性ホルモンバランスの変化により、もともと自然に排出されるはずの経血が子宮内にとどまってしまうケースがあります。
残った経血は不正出血として、生理と生理の間に少しずつ排出される、という仕組みです。
量に関しては、生理2日目と同じくらい多いこともあれば、ほんの少量という場合もあります。
ピルの不正出血が起こったらどうする?
不正出血はよく見られる現象で、ガイドラインでは通常飲み始めてから約3か月は様子を見て問題ないとされています。
不正出血がピルによる作用であれば、大きな問題はないとされています。しかし不正出血が別の原因で起きている可能性もあるので、油断はできません。
出血があるとピルの効果を心配される方もいるかと思いますが、毎日忘れずに服用することで、避妊効果は継続して得ることが出来ますので、服用し続けましょう。
ただし、心配な方は一度医師と相談することを検討してもよいでしょう。
ピルの種類を変えることで副作用が落ち着く場合もあります。
ピルの不正出血はいつまで続く?
ほとんどの場合は飲み始めて2シート目で収まってきますが、3シート目までは様子をみましょう。
飲み始めて3か月ほどはホルモンバランスの変化に身体が対応している時期ですので、時折不正出血が起こっていても問題はありません。
不安な場合は薬剤師や医師に相談しましょう。
ピルの不正出血を止める方法
ピルによる不正出血が止まらない、という方は、ピルの種類を変更することで改善する場合もあります。
ピルには一般的に使用される低用量ピルのほか、中用量ピルがあります。
ホルモンバランスには個人差があるので、エストロゲンの量が足りない場合、中用量ピルを使用することもあります。またいわゆる月経移動のために使われるピルは中容量ピルです。大切な試験や旅行などの予定と被らないよう、月経の周期をずらす目的に使用されます。
また、中用量ピルは性交の後に用いられるアフターピルとしても用いられます。
低用量ピルの種類の変更については、使用するエストロゲンとプロゲステロンの配合量と種類が規定範囲内で異なります。
中用量ピルは加えて、エストロゲンの量が1錠あたり0.05mg以上になるので、副作用が大きく出やすいという特徴があります。
ピルの種類を医師に相談される場合は、副作用についてしっかり話し合うようにしましょう。
ピルの不正出血は飲み始め、飲み忘れ、いつ出やすい?
今までピルによる不正出血は比較的よく見られ、経過観察出来る場合が多いということをお話してきました。
では具体的に「どのタイミングで不正出血は起こりやすいのか?」という点について見ていきましょう。
ピルの不正出血は飲み始めに起こりやすい?
ピルの不正出血は飲み始めた際に起こりやすく、3分の1程度の人に見られるといわれています。
飲み始めの時期は、ピルによって女性ホルモンが投与され、疑似的に妊娠している状態と同じように調節している時期です。
そのため、ホルモンバランスが変化し、身体に残った経血が一時的に出やすくなることがあります。
飲み始めて1ヶ月間は生理期間外に出血することがあるので、様子をみましょう。
ピルの不正出血は飲み忘れた場合に起こりやすい?
飲み始めた時期の不正出血は様子を見ても問題ありませんが、「うっかり飲み忘れてしまって不正出血が起こった!」という場合は要注意です。
通常は受精卵が着床しやすくするため、子宮内膜が厚くなり、それが経血となって剥がれ落ちます。
ピルを飲み始めると、ピルの女性ホルモンの働きによって子宮内膜が薄い状態に保たれるのですが、飲み忘れてしまうと女性ホルモンが減少し、その維持が難しくなります。
その結果、飲み忘れると子宮内膜が剥がれてしまい、不正出血となって体外に排出されるのです。
この場合は避妊効果が薄くなっている場合があるので、早急に飲み忘れた分を飲んで対処するようにしましょう。
飲み忘れによって不正出血が起こると驚いてしまいますが、出血自体は怖がる必要はありません。
「身体が元の自然な状態に戻ろうとしている結果なのだ」と考えておいてもよいでしょう。
詳しくは「低容量ピルの飲み忘れで不正出血!?体への影響はあるのか?」の記事をお読みください。
ピルのそのほかの副作用について
不正出血はピルによって起こる副作用のひとつです。
他にも副作用はあり、吐き気、胸の張り、頭痛、下腹痛、むくみが挙げられます。
また、血栓症や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが少し高くなることが懸念されています。
しかしながら喫煙者や肥満傾向の方と比較するとかなり低く、ほとんど健康な方がかかるリスクと大差ないとの報告があるので、過敏になる必要はありません。
まとめ
ピルを飲むことで起こる不正出血は、3ヶ月ほどで収まるとお話してきました。
突然出血が起こると「自分の身体に何が起こっているの?」と不安になってしまいますが、ピルの持つホルモンバランスを変化させるという効果を理解し、ゆっくり身体が適応していくと考え待ってみましょう。
ピルには様々な種類があるので、自分に合ったピルを医師と一緒に選ぶことも重要です。
慣れないうちはとまどいますが、長く飲み続けるピルだからこそ、正しい知識を得て付き合っていきたいですね。