ピルは月経日のコントロールや避妊、PMS(月経前症候群)の改善などに利用されていますが、実はニキビの治療にも使われることがあります。
しぶといニキビに悩まされている方は多いのではないでしょうか?
今回はピルによるニキビの治療について徹底解説します。ピルの服用でニキビを治したい方や、ピルでニキビが悪化してしまった方はこの記事にヒントが見つかるかもしれません。
気になった方はよろしければ最後までお読みくださいね。
目次
ピルとニキビとの関係とはなにか、女性ホルモンは関係あるのか
ピルとニキビに関係があるとされていて、その理由はニキビの発現作用にあります。ニキビができるメカニズム、ピルの種類と作用について詳しくご説明します。
ニキビはなぜできるのか
そもそも、ニキビはなぜできるのでしょうか。
ニキビは正式には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる、皮膚の病気です。
原因は死んだ皮膚の細胞(いわゆる角質)や細菌、乾いた皮脂などが毛包を塞ぐことです。毛包とは毛を生やす器官のことで、毛包の皮膚表面に見える部分が毛穴と呼ばれます。
青年期にできるニキビをニキビ、大人になってからできるニキビをアダルトニキビや吹き出物と区別して呼ぶこともあります。
しかし、医学的には同じものとされていて、明確な区別はありません。生活習慣の乱れやストレス、紫外線などがニキビの原因になり得ると言われています。
ピルとニキビは関係あるのか
ニキビの発現には、体内のホルモンバランスも深く関わっています。
角質や皮脂などが毛穴(毛包)を塞いだところが炎症を起こしている状態がニキビですが、ホルモンの中でも男性ホルモンに強く影響されます。
体内で男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌が過剰になると、皮脂の分泌が過剰化します。皮脂の分泌が過剰になると、毛穴の詰まりに繋がりニキビになるリスクが上昇するのです。
一方でピルには女性ホルモンが含まれています。ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステレン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンが含まれていることが多いです
ピルにはいくつかの種類があり、その中のいくつかには抗アンドロゲン作用を持つものもあります。アンドロゲンが過剰分泌された体内のホルモンバランスを女性ホルモンを含む薬であるピルが整えてくれるという訳です。
ピルを服用するとニキビは改善するのか
前述したように、ピルを服用すると過剰に分泌されたアンドロゲンの活動を抑制し、ニキビの治療に有効とされています。
どんな種類のニキビにピルは有効なのか、良くなるまでの平均的な期間についてご説明します。
ピルを服用すると、どんなニキビに効果があるのか
近年ニキビの治療にも様々な選択肢が出てきました。美容外科や皮膚科などが様々な治療方法を提案しています。そんな中、ピルもニキビ治療の一つの選択肢とされてきています。
ピルの内服によるホルモン療法は、顔だけではなく背中など全身のニキビに効果を示します。
しかし、服用すれば必ず上記のようなポジティブな効果が現れるとは言えないため、注意が必要です。
ピルを服用すると、どれくらいでニキビに効果が現れるのか
ピルに含まれている女性ホルモンが身体全体に行き渡ると、皮脂腺の活動を抑制する効果が期待できます。
ニキビの症状の度合いによって治るまでの期間は異なります。
軽いニキビはひと月もあれば治るとされていますが、平均的には2〜3か月ほどかかります。
重症のニキビであれば3か月程度かかるとされています。
ピルを服用するとニキビが悪化したのはなぜか
ピルを飲み始めてからニキビが治るまでに、一般的にはしばらく時間がかかります。
ニキビ治療のためにピルを飲み始めた方は、長期的な経過を医師と一緒に観察していただくことが前提になります。
ですがなかなかニキビが治らない場合は、もしかしたら服用しているピルの種類が合っていないのかもしれません。どうしてニキビが悪化することがあるのかご説明します。
ピルによりニキビが悪化する理由とは
なぜピルによってニキビが悪化するのでしょうか?
薬にはどうしても個人によって合う合わないがあります。同じ薬でも体質によっては副作用が出てしまうことがあり、それはピルによるニキビ治療も同じです。ピルの種類が合っておらず、ニキビが悪化することは可能性として十分考えられるのです。
一部のピルに含まれているプロゲステロン(黄体ホルモン)にはアンドロゲンを活性化させる作用があります。アンドロゲンの活動が盛んになることで、皮脂が過剰になり、ニキビが悪化すると考えられます。
生活習慣の影響でニキビが悪化することも
ニキビの悪化にはホルモンだけでなく生活習慣も深く関わっています。
睡眠と食事と運動のバランスを整えることが大切です。
例えばピルを飲んでニキビが治ったからといって、いくら夜更かししても大丈夫という訳ではありません。
生活習慣をきちんとして身体の基盤を作っておくことで、ピルの効果も十分に見込めるのです。
肌の乾燥や汚れもニキビの原因になりますので、保湿や洗顔など普段の肌ケアを見直すことも同時に必要かもしれません。
悪化したニキビへの対処方法について
ピルを服用してニキビが悪化した場合はどうしたらいいのでしょうか?ニキビが酷くなると気分が下がって不安な気持ちになりますよね。
そんないざという時にためになる適切な対処法について詳しくご説明します。
服用しているピルの種類を変えてみる
しばらく服用してもニキビが改善するどころか、数が増えたり悪化する場合は、ピルの種類が体質に合っていない可能性があります。
一般的にニキビ治療にはアンドロゲン活性を抑えた種類のピルを使用することが望ましいです。ニキビ改善に効果の高いプロゲステロンが多く配合された低用量ピルもあります。ピルを飲んでいるのに長い間ニキビが改善しないとお悩みの方は、一度服用しているピルの成分について医師に相談してみてもいいかもしれません。
ピルの服用方法を変えてみる
低用量ピルは基本的に休薬期間を設けながら毎日飲む薬です。
ニキビを含む望ましくない症状は服薬のタイミングを変えてみることで改善することがあります。
医師の指導を受けながら自分にあった服用方法で服用しましょう。
どうしても改善しない場合は医療機関へ相談
なかなかニキビが治らない場合は医療機関に相談してみましょう。
ピルの種類を変える場合も受診する必要がありますから、その時に相談してみるといいかもしれませんね。
専門的な知識を持った医師があなたによってよりよい治療法を総合的に判断するでしょう。
自宅でできるニキビケアとは
先ほど申し上げたように、ニキビには生活習慣が大きく関わっています。内服での治療に加えて日々の癖になっている習慣を見直してみませんか?一般的にニキビに悪影響を及ぼすとされる行為についてご説明します。自宅でできるニキビ対策についてもご紹介していきます。
ストレスを抱えないように
一般的に人間には刺激としてある程度のストレスは必要とされています。
しかしあまりにストレスを抱えすぎると身体のありとあらゆる所に影響を及ぼします。
例えば自律神経のバランスが崩れてしまったり、体内のホルモンバランスが崩れてしまったりします。
ストレスフルな状態がニキビをさらに悪化させることもあり得ます。
ストレスが多い自覚のある方は、ストレスを抱えすぎる前に発散するかストレッサー(ストレスの原因)から離れることがニキビの改善に役立つかもしれません。
日焼け止めや日傘で紫外線を防ぐ
紫外線はニキビに悪影響とされています。
実は紫外線は夏だけではなく、年中肌に影響を及ぼすとされています。油断しがちな春秋冬も日焼け止めをこまめに塗ることをおすすめします。
肌への負担を考えて、きちんと洗顔で日焼け止めを落とすこと、季節によってSPFとPAの数値などを参考に日焼け止めの種類を変えてみることも必要かもしれませんね。
タバコを控える
喫煙はニキビの悪化だけではなく、健康に様々な悪影響を及ぼします。
タバコに含まれるニコチンやタールは、肌のターンオーバー(肌が生まれ変わること)を乱し、抑制します。タバコにより身体全体の血流が悪くなって冷え症や便秘症になり、肌荒れを引き起こすことがあります。
またタバコの煙が肌に当たると有害物質が刺激になるだけでなく、タバコの粒子が毛穴を塞いでしまい、ニキビができやすくなります。
禁煙はニキビだけでなく、健康にとてもいいことでもあります。喫煙されている方はぜひタバコを控えてみることをおすすめします。
喫煙者でピルの服用を考えている方は、もしかしたら医師からストップが出るかもしれません。なぜなら、喫煙によってピルの重大な副作用である血栓症を引き起こすリスクが高くなるからです。タバコとピルの組み合わせはそもそも危険なのです。
まとめ
いかがでしたか?ピルを服用することでニキビが治るメカニズムや、悪化した場合の対処法についてご理解いただけましたか?
ニキビの治療にピルは有効ですが、ピルの種類によってはニキビが増えたり悪化したりする可能性もゼロではありません。自分に合ったピルの種類を探すことが大切です。また、ニキビを根本からできにくくするためにも、生活習慣を見直してみるのもいいかもしれませんね。
ピルは医療機関を受診しないと手に入れることができませんが、コロナ禍で受診に抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方にはオンライン診療をおすすめします。
オンラインで医師の診察を受けた後は、ピルが自宅に郵送されてくる仕組みです。支払いも通販のようにクレジットカードや振り込みなどが選べることが多いです。気になった方はご利用してみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考文献:
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)|公益社団法人日本産科婦人科学会
カラー版徹底図解 心理学―生活と社会に役立つ心理学の知識|青木 紀久代, 神宮 英夫 (著) 新星出版社 (2008/7/1)