ピルを服用するときに、副作用について気になる方も多いのではないでしょうか?
ピルを飲んだら太るという噂を耳にすると、飲むのを控えようと考える方もいるかもしれません。
今回はピルの副作用やデメリットについて徹底解説します。
特にピルを服用することによって太る可能性があるのか気になっている方は、解決のヒントが見つかるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。
目次
ピルを飲むと太るのは本当なのか
結論からいうと、ピルの服用と肥満の間には直接的な因果関係はないと考えられています。
しかし、低用量ピルの服用中に体重が増加したと実感する人は少なくないようです。
その理由について下で紹介します。
ピルを飲むと太ると言われる理由について
医学的には今のところピルの服用と体重の増加に因果関係はないとされています。
それにもかかわらず、ピルを飲むと太るという話をよく聞くのはなぜでしょうか?詳しく説明します。
ピルに含まれるエストロゲンによる保水作用
低用量ピルには主にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンやそれに類似した成分が含まれています。
中でもエストロゲンは血管の外に水分が溜まりやすい状況を作ります、その結果、顔や手脚などがむくむことがあります。
むくむと体重が増加するため、人によっては太ったと感じるかもしれません。むくみについては後で詳しく解説します。
ピルが食欲亢進(こうしん)につながる可能性は
ピルの服用が食欲を増すという信頼できるデータは見つけられませんでした。
月経困難症や月経前症候群などで食欲がなくなっていた方が症状が改善したために食欲が回復したという可能性は指摘されています。
ピルを飲むと太る?副作用「むくみ」について
先ほどピルの服用によって太るのかという疑問に対して、むくみの可能性をご説明しました。次はむくみについて詳しくご説明します。
ピルの副作用、むくみについて
むくみは、身体の皮膚の下に必要以上の水分が溜まった状態を指します。血管に含まれる水分は、栄養を体中に届け、老廃物を除去する役割を担っています。
通常体内の水分量は正常なバランスで保持されていますが、血液の循環が滞ることによって水分量のバランスが崩れると皮膚の下の水分が過剰になりむくみます。
むくみはピルの服用で起こり得る副作用のひとつですが、実はむくみは重大な病気の症状のひとつでもあります。血栓症です。
血栓は血液のかたまりのことで、血栓症は血栓が血管に詰まった状態を指します。
どこの血管が詰まったかによって病名は変わってきますが、いずれにせよ命に関わる重大な症状を引き起こす可能性があります。
ピルの重大な副作用に血栓症がありますが、健康な人は過度に心配する必要はありません。
それでも、健康でかつピルの服用をしていない人と比較すると、ピルの服用をしている人は血栓症の発症リスクが3.25〜4.0倍高まるという報告もあるため、定期的に血液検査を受けるなど、医師と一緒に予防策をとる必要があります。
ピルを服用していてむくみが出た場合には可能性は高くはないのですが、血栓症のリスクがあるかもしれないと考えることをお勧めします。
その他の副作用
その他のピルの副作用としては不正出血、頭痛、悪心(吐き気)などがあります。いずれの症状も多くの場合服用開始後2~3ヶ月したら収まるとされています。耐えられないほど症状が強い場合や長く続く場合は医療機関を受診しましょう。
対処方法について
ピルを飲むことによって太るという直接的な副作用は報告されていません。ですが、太ったと感じている場合どのように対処すればいいのでしょうか?
むくみを取り除く
むくみが気になる場合は、取り除く心掛けをしてみましょう。
むくみの原因は血液循環の悪化ですから、血流を促進するように心掛けましょう。
血流が滞らないように、定期的に身体を動かして長い間立ちっぱなしでいたり、座りっぱなしでいたりしないようにしましょう。
塩分の摂りすぎもむくみの悪化に繋がるため、適量にしましょう。
ピルの種類を変更する
ピルの種類を変更することによって症状が改善することも考えられます。
むくみや体重増加が気になる旨をピルを処方してもらっている医師に伝え、ご自身の体質にあったピルを処方してもらうようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?人によってはピルを飲むと太るという話はよく聞くかもしれませんが、実はピルが体重増加の直接的な原因であるという証拠はまだ見つかっていません。
ただホルモンの作用でむくみが生じたり、調子が良くなって自然と食欲が増したりすることがあります。
その結果、体重が増えて太ったと感じる可能性はあります。ピルを服用して太ると感じたくない方はご紹介した対処法を実践してみることをおすすめします。
皆さんがピルに対する正しい知識を持って安全にピルを服用できることを祈っています。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献:
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)|公益社団法人日本産科婦人科学会
トリキュラー錠21/トリキュラー錠28|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
医薬品インタビューフォームマーベロン(2019年10月改訂第12版)|MSD株式会社